「となりのトトロ」の中の挿入曲でイメージソングです。
オープニング曲もエンディング曲「さんぽ」も有名ですが、
この「風のとおり道」もよく耳にするようになりました。
作曲家の久石譲さんは「トトロの隠しテーマ」と呼んでいて、
ご自身のコンサートなどでは定番曲となっています。
もともとトトロ用に作曲されたものではなく、
トトロよりも先にできていたそうですが、久石氏は
「この曲はここで使うために生まれてきたんだ」
と感じたとのことです。
この曲に宮崎駿監督の作詞を付けた歌がイメージソングとなります。
私も大好きな、大好きな曲のひとつで、
自分の結婚披露宴で新郎新婦入場の時の曲に選んだほどです。
難易度はどうでしょう?
練習方法なども紹介します。
●難易度はどれくらいか
私が持っている楽譜は、コンサートなどでも演奏されているバージョンに近いもので、難易度は少し高いです。
中級の上だと個人的には思います。
他にも入門、初級、中級、上級と各レベルがそろっていました。
内容もオリジナルのハ短調(♭が3つ)の他、ニ短調(♭がひとつ)イ短調(何もつかない)など
黒鍵の数もさまざまなバージョンがあります。
編曲もさまざまで、イントロのあるものないもの、伴奏も楽譜によってかなり違いがあります。
●この曲の音楽的特徴
「日本音階」が多く使われている
この曲に出てくる和音は和風な感じですよね。メロディにも和を感じます。アジア風でしょうか?
日本音階は西洋の音階とは少し違って
主音から4つ目7つ目が抜けたヨナ抜き音階(ピアノの黒鍵3本の方から順に弾くとその音階になります。)
また、
2つ目6つ目が抜けたニロ抜き音階(黒鍵の2本の右から弾くとその音階になります。)
とも言います。
この「風のとおり道」のメロディは
「ラドレーレミド(134 453) ラドレーレソミ(134 475)…」
と2番6番が抜けていますね。
でもつづき
「ミ(5)ソ(7)ラ(1)ラ(1)ラ(1)ド(3)シ(2)ラ(1)ソ(7)フ(6)ァミ(5)ーレ(4)ラ(1)ミ(5)…」
数字が全部そろっています。
この辺は西洋的なのですね。
途中の16分音符のメロディでも
「ラ(1)ド(3)ー(ー)レ(4)ド(3)ラ(1)ソ(7)ーラ(1)ド(3)レ(4)ード(3)ラ(1)ー×2」
「ミ(5)ソ(7)ラ(1)ド(3)ラ(1)ド(3)ーラ(1)レ(4)ミ(5)、ド(3)シ(2)ソ(7)ーラ(1)」
と2がひとつだけありますが、
6がないですね。
完璧ではないですが、部分的にもこの音階があることで、
懐かしく感じ、和風、アジア風になるのですね。
日本音階の有名な曲は?
民謡などは完璧な日本音階の曲ですよね。それだけではなく、いろんな曲にも実は日本音階の曲があります。
世界でも有名になった坂本九さんの「上を向いて歩こう」。
もともとは外国の「ホタルの光」。(原曲はスコットランド民謡)
最近のヒット曲でも(演歌はこの音階の曲が多いですがそれ以外でも)
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」。
きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」。
Perfumeの「レーザービーム」
いきものがかり「笑顔」
などなど…
この音階は歌いやすく覚えやすいので童謡やわらべうたなど
子どもの頃の歌にも多いです。
日本だけでなく、遠く離れたスコットランド、やアジアの音階にも似たメロディは各地で見られます。
久石譲さんの曲には宮崎アニメ映画だけでも「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」「ポニョ」などにもこの音階が随所に使われています。
2年の月日をかけて作った曲
久石譲さんと宮崎駿監督やそのスタッフさんとはアニメ映画の作品づくりに1作品に約2年もかけて、一緒に作り上げていったとのことです。
宮崎駿アニメと、久石譲音楽、切り離しては語れないという感じですね。
ますますどちらも大好きになりました。
あー「となりのトトロ」をもう一度観たい!!(何回も観ましたけど…)
●オススメの練習方法
イントロはスタッカートで
多少楽譜によって違うとは思いますが、イントロは右だけで4度の和音のメロディをスタッカートで弾きます。
タネが植えられまだ目が出る前の静かな夜、土の中では伸びようとしている小さな命が…
ってトトロのイメージそのままですが、
イントロ終わりは一気にフォルテを
「となりのトトロ」では芽が一夜にして大きな大木となる夢の中のシーンがあります。イントロが終わりメロディはそのイメージで、
一気にフォルテ(強く)の広がりある響きを出して弾きたいです。
そして、和音の連打となるメロディでは、雰囲気も一変させ、迫力あるシーンを思い出します。
トトロが木の上で大きな声を上げている感じで。
私の勝手なイメージですが、トトロのイメージなら分かりやすいかと思います。
「となりのトトロ」を観て、久石譲さんのピアノ演奏も聞いてイメージしました。
ぜひ、自分なりのイメージを持って演奏してくださいね。
右手が16分音符で(4度離れた二つの)和音の部分はトトロたちと一緒に遊ぶイメージではどうでしょう。
あまり走りすぎず、丁寧に粒をそろえて演奏してください。
16分音符が終わった次の場面は同じメロディが繰り返されるようですが、イメージを変えてあります。
はじめはやさしいイメージで、和音は最初よりも迫力があります。
女の子がいなくなって…村が大騒ぎになるところでしょうか。
「Andantino(♩=84)」の解釈
私の持っている楽譜では、最初にAndantino(♩=84)
となっていて、曲の途中での指示もありませんでした。
実際にCDで聴くと、
フレーズごとにかなり違いがあります。
強弱の記号も違うかも?と思う箇所があります。
(楽譜の中のEのところはフォルテになっていますが、CDで聴くとピアノ(弱く)が良さそうです。)
リタルダントの指示も少ないですが曲をよく聴いて
フレーズ毎に変えて練習してみてください。
●まとめ
宮崎駿監督アニメ映画「となりのトトロ」のいわば「隠しテーマ」である久石譲作曲「風のとおり道」!
コンサートでもご本人がピアノで演奏され、有名になりました。
ピアノバージョンをぜひ練習したいですね。
楽譜はたくさんあり、黒鍵の少ない入門レベルから上級まで編曲もさまざま出ています。
オリジナル「The Wind Forest」の楽譜の
難易度はおそらく中級の上。
「日本音階を使いながらモダンな世界を作った」と久石氏。
主音から2番6番を抜いたニロ抜き音階と西洋の音階を巧みに使いトトロの世界のバランスまで考えて作られました。
トトロのイメージそのままで演奏してみたい曲ですね。
速さや、強さ、ゆっくり弾く個所などなどは、楽譜に頼らず、
久石譲さんの演奏を(ネットなどで)よく聴いて練習してください。
宮崎駿監督作品と切り離せない、名曲名画ですね。
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