ドビュッシー『月の光』を解説。好きな女性のために作った?

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「月の光」は
クロード・ドビュッシーの曲の中でも
最も有名な曲です。

月光と言えばベートーベンの曲を思い出しますが、
ドビュッシーの月の光は、
どんな背景でどんな想いで作られたのか
いろんな解釈も紹介します。

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●音楽的な解説

この曲は、1890年(28歳)頃作曲され、
1905年に改訂版が出されました。

ベルガマスク組曲の3曲目です。


ベルガマスクとは、
「ベルガモの」あるいは「ベルガモ舞曲」の意味ですが、
ヴェルレーヌの「月の光」という詩の中で
「ベルガモの踊り子たちは…」という言葉が出てきます。

その言葉を採用しました。


そして、「月の光」という歌曲を作った
フォーレという人の影響もあると言われています。

ベルガマスク組曲の前奏曲は、
このフォーレの歌曲と似ています。



演奏方法や速度

ドビュッシーの「月の光」は
変ニ長調、8分の9拍子の曲です。

ほとんどが静かな音で演奏される夜想曲で、
「感傷的な散歩道」のタイトルだったそうで、
後に「月の光」に変わりました。


中間部では
教会旋法(きょうかいせんぽう)の一種の
ミクソリディア旋法という音階が使われています。

あまり聞きなれませんが、
現代のミクソリディア旋法はクラシック以外でよく使われています。


音階が、ひとつだけ違って
ドレミファソラシドのシがフラットのシ、
つまり半音低くなり普通にピアノなどで弾けば、
そこだけ黒鍵になります。


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●曲に込められた背景・想いの解説

このころのドビュッシーは、
まだ他の作曲家の影響があります。

フォーレと言う人の歌曲「月の光」は
きっとドビュッシーが好きなのでしょう。



詩の世界観を再現

同じ詩の歌曲をドビュッシーも
初期に作曲していたそうですが、
「月の光」とは全然違う曲です。

その曲は
当時好きだった女性に贈られました


とはいえ、
このヴェルレーヌの詩の世界を
描こうとしたことは確かです。

ドビュッシーはいつも
矛盾や悲しみを持っていたそうで、
暗い人だったとか。


ヴェルレーヌの詩には、
過ぎ去ったもの、悦楽の後の虚しさが歌われていて、
「月の光」はそんな切なさを見事に音楽にしています。

人前ではあまりピアノを弾きたがらなかったドビュッシーでしたが、
ピアノのタッチは
「やわらかで、深く充実した響きを出していた」

との証言があります。


フランスでも最も伝統と格式を誇る音楽学校で彼は、
音楽が規則によってがんじがらめになっていると感じ、
西洋音楽の規則から外れた音楽を目指します。


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●いろんな解釈の仕方


留学先の場所に影響された?

この曲を作曲する前の1885年から
ドビュッシーは2年間、
イタリアのローマへ留学しています。

ベルガマスク組曲のベルガモ地方はイタリアの北部にあり、
留学中のドビュッシーが訪れていたということから、
この組曲がベルガモ地方との関係もあるのではないか
と言われています。


曲の内容には、
イタリア的な表現があるわけではないです。

ヴェルレーヌの詩の中に
このイタリア北部で生まれたピエロの起源とも捉えられ、
その心もこの曲に込められているのではないか
と言われています。



あいまいな世界観を表現

また、ドビュッシーが描こうとしたのは、
ただの月の光の情景ではないと、

ヴェルレーヌの詩には、
楽しくも、悲しくもあるあいまいな世界が描かれていると、
この詩を歌曲でも表現しようとし、
言葉を使わないピアノだけでの表現をしたというのです。


いろんな解釈ができるというのは
このあいまいさだからでしょうか。

ドビュッシーの曲は美しく、
後年にはさらに抽象的な表現に
なっていきます。



恋愛観との関係性

これほど美しい、
詩心ある抽象的な表現のドビュッシーですが、
彼の人生はというと、

人妻に恋をしたり、
駆け落ちしちゃったり、
女性を泣かせてしまう、問題ありな人だったのです。


でも、ドビュッシーは音楽もそうですが、
美しさを追求しちゃう
のではないでしょうか。

きれいごとでは、上手く恋愛もできませんよね。

だから、女性ともうまくいかず
問題を起こしてしまうのかもしれません。


内向的だったそうで、
自分の思うことを言葉に出して言えなかったのでは?

音楽でもハッキリとこれ!と決まりを付けず、
あいまいな表現をしていますが、
美しさの究極を求めていたからなのではないでしょうか。


月の光の演奏方にも
いろいろと解釈があります。

2拍子と3拍子が出てくるような感じだとか、
ペダルを何段階にも分けて踏むとか。

ですが、
この曲は楽譜通りに弾くことが、
そのまま美しい音楽
だと思います。




●まとめ

ドビュッシーの「月の光」、
静かな夜の美しい曲で有名です。

ドビュッシーが好きなフォーレの歌曲の影響があり、
歌曲の元となった詩「月の光」に
タイトルの言葉(ベルガマスク)があります。



音楽としては教会旋法という旋律を使い、
音楽の規則から外れようとしていたドビュッシー。


詩の楽しくも悲しいといったあいまいな表現を好んで、
歌曲を作ったこともありました。

月の光はこの詩を言葉を使わず、
見事な音楽として表現
しました。


組曲の題名から、
ベルガモ地方とのかかわりもあるのではないかとの解釈もあり、
その地方の音楽は使われてはいないものの、
その心は込められていると捉える事ができます。


ドビュッシーは女性とはうまくいかず、
問題を起こしてしまうことがありました。

ドビュッシーの内向的な性格や、
美しさへの探求がそうさせたのでしょうか。


演奏の仕方にもいろんな解釈があるようですが、
楽譜をそのまま演奏することが
より美しい音楽と言えます。

完成された楽譜ということでしょうか。


ドビュッシーの完成された美しい「月の光」。

ヴェルレーヌの詩に
その想いが込められていた
のですね。


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