もともとは音楽用語ですが、いろんな意味でも使われるこの「不協和音」。
なんとなく、知っているような、ハッキリしないような…
言葉としては、ダメなイメージですが、音楽でもダメなのでしょうか?
どんな和音が不協和音なのでしょうか?
曲の中でも、使われているのでしょうか?
使われるとしたら、どんな使われ方をしているのでしょう?
もしかして、時代が不協和音を求めているのかも?
●不協和音の意味
西洋音楽の中で、美しいとされた音程をもった和音が、協和音といいます。その逆で、
美しくないとされる音程をもった和音のことが不協和音です。
私が持っている「新しい楽典」という本には
「二つの音の振動数の比が単純なものほどよくとけ合い、複雑なものほどとけ合わない。とありました。
そのとけ合う度合いによって、協音程と不協音程に分けられる。」
とけ合っているって表現ですね。
一般的に、短2度や長2度、長7度(シとドという風にとなりの音)などが不協和音とされています。
どこまでを協和音、不協和音とするのかは、とらえ方に違いがあって統一されないということです。
ピアノなどの楽器で言えば、隣り合わせのケンバンを二つ同時に押さえると、ちょっと耳障りな響きがしますよね。
ぶつかる音って感じです。
2人以上で歌ってきれいにハモれたら気持ちがいいのですが、
うまく響かず、微妙にずれると逆に気持ちが悪い音の響きになってしまうことがあります。
音が美しくない響きだからダメな音なのでしょうか?
いえいえ
不協和音はダメなのではないのです。
もちろん、歌などではピタッとハモって歌えた方がきれいし、気持ちがいいものですよね。
きれいではない音を歌ってもダメじゃないのでしょうか?
下手でいいとか、我慢するとか、そんなことではないですよね?
これが不協和音!というものは無い
ただ、題名にもありますが、意図的にこの不協和音を使うことで、曲が違った感じにできることがあります。
さっきも紹介した私の持っている本の不協音程のページの最後には、小さく、注とあり、
「…人間の耳が騒音などによって変わってゆきつつある現在、将来このような協音程、不協音程、あるいはとありました。
協和音、不協和音の範囲は変わってゆくものと思われる。」
現代人の耳が、変わってくれば、どの音を不協和音とするかも違ってくるということですね。
時代が変わってきて、クラシックでは、ありえなかったような和音を駆使した曲を
多くの作曲家の方たちがしてきています。
時代とともに変わる音楽、その中に不協和音もたくさん使われています。
●どんな曲中に使われる?
不協和音を使った曲はたくさんあります。やりすぎると、美しくない曲になってしまい、雑音に聞こえてしまうのかもしれませんが、
美しい音だけでなく、
不協和音を使うことで、味のある、かっこいい曲になります。
例を挙げて紹介したいのですが、代表的な曲ってなんだろうとあちこち検索して、いろいろ聞きましたが、悩んじゃいました。
皆が知ってそうな曲で…ないかな?
モーツァルトの曲で弦楽4重奏曲第19番ハ長調の呼び名が「不協和音」というようです。
クラシックでもドビュッシーは、西洋音楽の決まりをきらって、作曲されたので、不協和音も多く使われています。
コードでいうと
メジャーコードやマイナーコードは協和音になります。
その他、7を付けたり、dim などのコードが不協和音になり、どんな曲にでもだいたい使われています。
私は子どもの頃、エレクトーンを習っていて、ピアノを習っている子と一緒にレッスンを受けていました。
ピアノのコード、つまり伴奏は、ハ長調の場合、
Ⅰドミソ
Ⅳファラド
Ⅴソシレ
でしたかね。
ですが、私はエレクトーンで真っ先に
Cドミソ
Fファラド
G7ソシファ
と教えられました。
楽譜の一番初めの「ちょうちょう」で習いました。
なので、ピアノの楽譜の ソシレ には違和感があったのを覚えています。
G7の方がカッコイイ!と思って…ちょっと小さい手では弾きにくいんだけど、
ソシレよりソシファでしょ!
このファはソからすると7つ目の音でファとソは不協和音になります。
が、普通にちょうちょうから使っていました。
エレクトーンではいろんなジャンルの曲も弾きます。
最初は童謡も多かったのですが、だんだんとビートルズの曲やジャズなども弾きました。
ポップスでもコードがどんどん複雑になってきて、
augとかdimとかがまた5とか7とかもよく付きました。
この文字が入ると、ちょっと不安定な響きがします。
aug は増5度を含みます。
ドミソのソが♯になってちょっと変でしょ?
dim は減7の和音で、ドミソシのミもソも♭がついてシはラに下がります。
どちらも不協和音ですが、よく出てきます。
曲の途中に少し出てくるだけで、複雑な感情を表現できたり、アクセントになったり
いろいろな効果が得られます。
たまに出てくる、これがポイントかなと思います。
使い過ぎると不快に感じる
坂本龍一さんの言葉ですが、「不協和音がいいわけです。いちど不安定な世界になって、それからまた安定した世界へ戻る」
有名なアニメの曲を不協和音にしました!って動画がありました。
最初だけ少し聞いて、ギャーって嫌になってしまいました。
だって、全部が濁ったきたない音で、ずっとその調子でした。
聴いていられなかったです。
不協和音は、美しくない不安定な音ですから、使う場合は、
安定した協和音の間に少しだけ出てきて、また安定した音で締めくくるようにすると効果的ですね。
東洋と西洋で、何が不協和音か違う
日本の雅楽などをご存知でしょうか?すごく変わった形の笛で笙(しょう)というのがあります。
小さいパイプオルガンみたいな形をしています。
その笛の音は、西洋では不協和音となります。
雅楽は、高音を使った複雑な不協和音の響きで、日本の神さまを表現しているといいます。
日本では古来から親しんできた音ですが、
西洋では不協和音なのです。
先ほどの坂本龍一さんも日本の音を使うことで、西洋では不協和音だった音域の
全く新しい音楽を目指して作曲されています。
その他にも日本人にはどこか懐かしい、そして世界の人には新しい音楽、
そこには不協和音が光っています。
最先端の音楽が、今、不協和音を上手く使えるかにかかっていると言ってもいいほどです。
人間関係がうまくいかないとか、意見が分かれて上手くまとまらないといった意味にもつかわれる不協和音ですが、
人間関係でも、いろんな人が居る社会で、いろんな人とかかわっていかないといけませんね。
上手くいかない、意見が違う、相性が合わない、
いろいろあるかもしれませんが、気の合う人だけでなく、いろんな意見や違いを乗り越えたところに、新しい人間関係や、自分の成長もあるのかなと思います。
っということは!
不協和音という言葉は、音楽用語でも、その他の使い方も、ダメじゃない!!
ってことですよね。
●まとめ
不協和音とは、西洋音楽で美しいとされる協和音に対し、美しくないとされる響きを持つ音程。不協和音と聞くと、あまりいいイメージないですよね。
実際に不協和音とされる音を聞くと、確かにちょっと耳障りというか、不安定というか、濁った音がします。
では、不協和音はないほうがいいのでしょうか?
音楽は美しくなければいけないのか?
いえいえ、全然違いますよね。
そう、西洋のクラシックの時代から、今に至るまで、
不協和音を使う作曲家は多いのです。
クラシックでもモーツァルトが題名にするくらい、そして、ドビュッシーはよく使っていました。
ポピュラー音楽や、ジャズなどでは、不協和音がない曲はない?ほどです。
不安定な不協和音を効果的に使うことで、
感情の表現や、西洋にはない音域の美しさを上手く出すことができます。
今やこの不協和音をどう使うかが最先端音楽のポイントとなっています。
普段の人間関係も、不協和音をダメだと思わず、違った考えや生き方にも触れていくことで新しい自分が発見できるのではないでしょうか。
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