坂本龍一作曲「戦場のメリークリスマス」はクリスマスシーズンだけでなく
印象に残るメロディーや、弾きやすさもあり人気です。
元は、大島渚監督の同タイトル映画のテーマ曲でした。
日本、英国、オーストラリア、ニュージーランド合作で
1983年に公開され、英国アカデミー賞作曲賞を受賞しました。
題名と曲の冒頭を聴くだけで、聴きいってしまう不思議な魅力。
切なさや、どこか懐かしいメロディ、メロディとメロディのあいだの間。
坂本氏は「西洋でも東洋でもない…」と言っていますが、東洋の雰囲気ありますよね。
ピアノ演奏のための楽譜は初級から上級までいろんなバージョンで出ています。
初心者用の楽譜から演奏のためのポイントや、上達への意識つけなどを紹介します。
●初心者がまず意識すること
まず、曲を良く聴いてみてください。基本ですが、大切なことです。
オリジナルはシンセサイザーの曲でピアノではライブなどで演奏されています。
まずは黒鍵の少ない楽譜から
楽譜はオリジナルではフラットが(5個と)多く黒鍵ばかりになりますので、初級用は黒鍵のより少ない編曲になった楽譜があります。
覚えてしまえば、オリジナルキーでも同じだとは思いますが、
ドレミで楽譜を見て、ピアノを弾く人には(オリジナルでは)譜読みでドレミにしにくいので
イ短調(ハ長調と同じ)バージョンかオリジナルより半音高い(♯がふたつの)
ロ短調がオススメです。
まずは右手左手を交互に
楽譜が決まったら弾いてみましょう。まずは最初のメロディ(イントロかな?)を
右手だけ、左手の伴奏だけ…
すごくいいでしょ!
弾ける弾ける!
って思いませんか?
両手でもやってみましょう。
たぶん覚えて弾くタイプの方にもこの曲は覚えやすいので、
楽譜が苦手な方にもオススメです。
まずはシンプルにやってみよう
初心者の方に意識していただきたいことは、いろいろ考えず、やってみてほしいということ、
そして、
続けてほしいということです。
上達するために何よりも大事なのはやる気と持続です。
姿勢や、指や、リズムや、強さなどなど独学で練習するには心配なこともありますが、
とにかくピアノに向かい、弾いてみることが一番です。
ピアノの響きを楽しみましょう。
切ないメロディを感じましょう。
そして何より弾ける喜びを味わいましょう。
ピアノを始めて間もない方が、この曲の練習風景を自分で撮って、
何日後何日後と少しずつ弾けるようになっていく動画を見ました。
ネットで楽譜を購入し、独学で練習されているのだと思いますが、
楽譜なしで最後までミスタッチの少ない演奏を見せてくれていました。
どんな弾き方でもスタイルでも、がんばる姿に感動し、かっこよく感じました。
顔は映ってませんが、その方のドヤ顔が浮かんできます。
●演奏する際のポイント
坂本龍一さん本人の演奏を見ると、何とも切なさが伝わってきます。とてもやさしく演奏をはじめられています。
がんばって早く上手くなろうとしなくても
ゆっくりやさしくはじめてください。
メロディをしっかり響かせましょう。
伴奏の左手は和音だと思いますが、さらにやさしく演奏しましょう。
曲の感じが変わるところは今までと気持ちも変えてみてください。
ピアノソロの曲ですが、他の楽器が加わったような感じをイメージするのはどうでしょう。
●慣れてきたらこんなことも意識しよう
東洋的な曲調を意識して演奏
この曲は定番とは言え、クラシックと違います。坂本氏は「一種間違った和音」と言っていましたが、
和音の中に含まれる音に少し変わった音(9度や13度)を混ぜることによって
わざともともとの調(変ロ短調)にない音を使い、東洋的な響きを出しています。
ドビュッシーやサティなどがクラシックの枠を超えようと作曲をしたように
坂本氏も西洋でもない東洋でもないものを表現しようとされた音楽的には革新的なことなのですね。
ジャズの影響もあると坂本氏は言っています。
「彼らの和音の面白さを追求したのです。」
和音の響きを良く聴きながら弾いてみると面白いですよ。
中級者用楽譜にもチャレンジ!
また、ぜひ、中級用の楽譜にも挑戦してみていただきたいです。
この曲は、特に坂本氏のどこにもない音楽を作ろうとされた、
音楽的には変わった音を使った曲でしたが、そのことが逆に新しい感動を生み、
色あせない定番となっていったといえます。
決まっていること、できることをするだけでなく、形にとらわれない、
枠を超えたものにも挑んでこそ新たな道が開かれるのではないでしょうか。
そういう意味で、自分は初心者だから、無理。
これはまだやったことがないから無理。
と思わず、
どんなことも、誰が何と言おうと貫ける気持ちがほしいですね。
と、偉そうなことを言っている私も、何かはじめたい!
そう思えてきました。心を動かす音楽ですね。
●まとめ
もともとは映画音楽だった坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」。ピアノ演奏の定番としても有名で、
ぜひ初心者の方にも演奏していただきたいです。
オリジナルキーは♭5つの変ロ短調ですが、(中級)
何もつかないイ短調、あるいはロ短調に編曲された楽譜(初級)での練習をおすすめします。
独学でもできます。
指とか姿勢とか、あまり気にせずやってみましょう。
メロディを響かせましょう。
切ないメロディを感じましょう。
何より弾ける喜びを味わいましょう。
とにかく、やってみること、続けることが大事ですね。
クラシックとは違い、和音の深いところで彼のこだわりもあります。
和音の響きも感じつつ、レベルアップのためにもさらに中級、上級への挑戦も
続けていきましょう。
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