ベートーベン『月光』の解説。第1~3章までの世界観

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 ベートーベンの曲でも特にこのピアノソナタ第14番嬰ハ短調は、
「月光」として映画やドラマなどにも使われ、日本でも有名ですね。

3楽章の中でも第1楽章が特に有名ですが、
各楽章の世界観や、他の曲との違いなど、
多くの人の心を揺れ動かしたベートーベンの名曲に浸ってみたいと思います。

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●それぞれの楽章はどんな世界観なのか


第1楽章

なんといっても第1楽章が有名ですね。

解説本では、
感情的な解釈からは、この楽章の厳格さや、無限の絶望感は
正しく表現できない
だろう。
無の世界からの音楽、などと表現されています。


ベートーベンのエピソードとして、
その頃、ピアノを教えていた若い女性にこの曲をプレゼントしたとか、
身分も違い、叶わぬ恋だったようですが、
そんな切なさも表現されていると感じます。


私自身は、かなり落ち込んだ時に、その心のままに、
この第1楽章を弾きました。

また、身近な人の死を書いた葬送曲といわれる人もあります。
美しいと言われる方や、憧れる方が多い曲でもあります。


静かな中に、響きがあって、重さがあって、
メロディーは直接、聴く人の心に共鳴します。



第2楽章

高いメロディーから低いメロディーへ入れ替わり…
そして、最後は響きがまだ残っているうちに次の第2楽章です。

この楽章は静かな第1楽章と、速くて強烈な第3楽章に挟まれ、
少し異質な感じがします。



解説書のゲルハルト・オピッツさんは、
「ウィルヘル・ケンプの、
この楽章は『ふたつの深淵の間の1輪の花』という表現が、
的をえている
と言われています。

私のイメージでは、「顔を上げて!」と誰かに励まされている感じです。


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第3楽章

そして第3楽章では静かだった第1楽章とは打って変わり、
かなりの速さと迫力ある和音が激しく鳴り響きます。

今までの葛藤が、ここにきて一気に爆発します。
第1楽章のピリピリするほどの繊細さが、ここでは極端に
荒々しく突進するような表現になって、まるで違う曲のようです。

そして全部吐き出して、力も出し切って終わる感じがします。
(一部解説書を参考にしました)



落ち込んだ私が、この第3楽章まで弾きこなすことができていれば、
落ち込んだままではなく第3楽章で、
気持ちを爆発させることができていたかもしれませんね。

残念ながら、第3楽章は難易度が高く、
気持ちを表現できるほどには練習できていませんでした。


最近では、ネットなどで、いろんなピアニストさんの演奏を気軽に動画でも観ることができます。
私も今は、弾くことよりスマホで聴きながら、仕事をしています。




●ベートーベンの曲の特徴

ベートーベンの曲の特徴として、
短い主題となるメロディーを最初から最後まで、
いろんな変化をさせて展開していくことが多い
です。

主題となるメロディーでインパクトを持たせ、同じメロディーを
雰囲気やテンポ、順番などを変化させ、
気持ちよくメロディーが展開されていきます。



実はこの曲も、その展開を活用させているのです。

楽章ごとにまるで別の曲のようではあっても、
同じ主題をうまく組み合わせて、全体のストーリーができているのですね。


同じメロディーが繰り返されて展開していくこと、
そこがベートーベンの素晴らしいところで、
何度も聴きたくなる、聴いていて飽きない、聴きながらわくわくする、
そして、聴いていて安心する理由のひとつではないかと考えます。


ぜひ、第1楽章、第2楽章、第3楽章を通して聴き、
深い悩みの心でも顔を上げて、悩みから逃げず、
心を全て出し切って、誰かに相談しようという気持ちに
なってきたら、いいな…


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古典から画期的な表現まで、幅広い音楽

ベートーベンは
ピアノソナタを全部で32曲、作曲しています。

その中でも
「悲愴」と「月光」と「情熱」は3大ピアノソナタと呼ばれています。


この曲の特徴は、伝統的な古典派のソナタから離れて、
当時では画期的な表現をしています。

第1楽章にソナタ形式ではなく、
幻想曲風の変奏曲形式をいきなり持ってきています。

曲が進むほどにテンポが速くなり、
最後の第3楽章にソナタ形式が来ます。



ベートーベンは、
それまでの音楽の常識を
他の曲でもさまざまな手法で変えてきました。


この曲もそのひとつでソナタの常識を変えたのでしょう。

当時は型破りと言われるほど画期的なことが
今では当たり前のことのようで、
ベートーベンによって
後世の音楽が変わっていったといっても良いのではないでしょうか。




●まとめ

ベートーベンのピアノソナタでもっとも有名な「月光」。

「幻想曲風」とついた曲で、静かで、
ゆっくりとしたテンポの第1楽章からはじまり、
第2楽章、第3楽章と進むごとに速さと迫力を増していきます。


もっとも有名で、美しい、
無の世界からの音楽のような第1楽章。

第2楽章では「深淵の間の花」といわれ、
第3楽章で、心を爆発させたかのような
全てを発散させるよう
な曲。


ベートーベンは他の曲でも、かつてない試みで、常識を破っています。
この曲もソナタでありながら、ソナタ形式は最後になっています。

そして、ベートーベンの特徴でもある、主題のメロディーを変化させ、
全曲を通して展開して、ひとつのストーリーを作っているのです。


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