ヴィバルディ『四季』解説。春夏秋冬それぞれ紹介

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ヴィバルディ作曲の「四季」はクラシックが好きな人もそうでない人も一度は聞いたことがある名曲です。
ネットで、中学校の音楽で試験に出る曲という書き込みが多く教科書にもあるクラシックの定番曲ですね。

私は小学生の頃の朝、登校時にいつも放送係さんが題名付きで紹介してくれていたので、よく覚えています。
軽やかなヴァイオリンの音が、仲良く調和した感じで、明るいイメージしかありません。


「春」「夏」「秋」「冬」4曲の解説と背景と想いなど紹介します。
試験にも楽しく挑んでもらえるように分かりやすくお伝えしたいと思います。

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●楽曲解説

イタリアの作曲家、アントニオ・ヴィヴァルディ(試験ではビバルディと書くと△ですね)が47歳のとき、
1725年に出版した12曲のヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」のうち、第1集(第1曲から第4曲)です。
題名の「春」「夏」「秋」「冬」は本人がつけたのではないです。

ヴィヴァルディは父親の影響で
ヴァイオリニストとしても、教師としても活躍し、
500を超える協奏曲や現存する52のオペラ、73のソナタ、などなどたくさんの作曲をしています。
でも有名なのは「四季」だけですね。あとの曲は、多くの人は聞いたこともないです。


音楽って時代も国もこえて、たくさんの人が楽しんだり、感動したり、癒されたり…
食べることなどと同じように愛されてきたといっても良いと思います。



四季についている「詩」

「四季」の各協奏曲にはそれぞれ3つの楽章があって、ソネット(詩)がついています。
ソネットには四季折々の情景がリアルに描かれています。

   ・独奏ヴァイオリン
   ・第1・第2ヴァイオリン
   ・ヴィオラ(ヴァイオリンより少し大きい楽器)
   ・通奏低音(チェロ、ヴィオローネ、ポジティブ・オルガン)
などで演奏されます。
(通奏低音とは主にバロック音楽での伴奏の形態のこと。楽譜に決まった楽器の指示もなく、楽譜の旋律に適切な和音をつけて演奏されるのが普通です。)


協奏曲第1番 ホ長調、「春」(「」の中はソネットの一部です。)
  ・アレグロ 「春がやってきた、小鳥は喜びさえずりながら祝っている…」
  ・ラルゴ 「牧草地には花が咲き乱れ、…羊飼いは眠り…」
  ・アレグロ(田園曲のダンス) 「陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。」


協奏曲第2番 ト短調 「夏」
  ・アレグロ・ノン・モルトーアレグロ  「かんかんと照りつける太陽の…暑さで…ぐったりしている。…やってくる嵐が怖くておののく。」
  ・アレグロ・プレスト・アダージョ 「稲妻と雷鳴のとどろきで眠るどころではない…」
  ・プレスト(夏の嵐) 「彼の心配は現実となってしまった。…雹(ひょう)が…穀物を打ち倒した。」


協奏曲第3番 ヘ長調 「秋」
  ・アレグロ(小作農のダンスと歌) 「…収穫が無事に終わり大騒ぎ。」
  ・アダージョ・モルト(酔っ払いの居眠り) 「…酒は全ての者を…眠りに誘う。」
  ・アレグロ(狩り) 「夜明けに、狩猟者が狩猟の準備のためにホルンをたずさえ、犬を従える。」
  
協奏曲第4番 ヘ短調 「冬」
  ・アレグロ・ノン・モルト 「寒さの中で身ぶるいしている。」
  ・ラルゴ 「…暖炉で満足そうに休息。」
  ・アレグロ 「…つまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。…しかし滑って氷に叩きつけられた。…もうすぐ楽しい春がやってくる」


と、文字だけで見ても、なかなかドラマチックな展開ですね。
曲を聴きながら見くらべても面白いと思います。

当時の農業をされていた人たちは、夏もかなり大変だったということがわかります。
暑さと嵐との戦いに、我慢の夏なのですね。
だから、短調(悲しげ)の曲なのです。




この4曲にあるソネット(詩)が親しみやすく、曲と合わせてイメージしやすいのが人気の秘密でもあるのです。

そして、その人気のもう一つの要因は、各曲とも主要なメロディーが何回も繰り返し戻ってくる形式(リトルネッロ形式)にもあります。


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音楽の持つ楽しさ

私の小学生の頃は将来「音楽の道もいいな」と思っていました。

でも中学の音楽の授業では、試験の難しいこと、ややこしいこと、
音楽なのに中身は歴史(作曲家の名前や曲を覚えること)や、数学(○長調の名前や記号の説明)のようになってきて、しまいには音楽を聴いた感想文まで書かされて、
音楽ってもっと自由に楽しめないの?って嫌になってしまったことがありました。

音楽の道へ進むかどうかは別として、
どんなことにも楽しいばかりではないです。
難しくて嫌になるようなこともありますよね。


でも
1から10まで全て理解しなくても大丈夫です。
きっと、その時はわからなくても必要なことは後になって分かってくることが多いです。
何に対しても無駄なことはありません。
努力は必ず活かせるときが来ます。

どうか皆さんは音楽(やろうとしていること)をキライにならないでください。




●曲に込められた背景・想いの解説


父に学んだクラシック

この曲を見ると農業関係かと思いますが、ヴィヴァルディのお父さんは
理髪師であり外科医だったそうです。同時にヴァイオリンの才能があり、
その父親や、父の音楽仲間から、音楽を教わります。


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喘息と向き合いながら作曲

子どもの頃は生まれつきの喘息があり、25歳で教会の司祭にまでなっていたヴィヴァルディですが、たびたび発作が起こったということです。

「四季」を作曲したころは各地を旅行しながら、作曲したオペラを上演していました。

この曲のソネット(詩)の作者は不明です。
農業関係なのはソネットを書いた人物かもしれません。
このソネットを元にいろいろと想像をめぐらし、作曲したのですね。
身体の弱かったヴィヴァルディにとって、
何気ない日常や四季を感じることなど、かけがえのないものだったでしょうね。


遠く離れた日本でも、この曲は20世紀になってから、イ・ムジチ合奏団(イタリアの室内楽団)が演奏したことで人気となりました。(指揮者を置かず、楽員全員で音楽を作り上げる形式)
庶民の中の庶民の音楽といった感じでしょうか。

難しい音楽より、この「四季」のようにメッセージも伝わりやすく、庶民の音楽が良いですね。




●まとめ

誰もが知っているヴィヴァルディの「四季」。
「春」「夏」「秋」「冬」の4曲で、ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」の中の曲です。

中学の試験にも出るほどクラシックを代表する曲です。


各協奏曲には
ソネットと呼ばれる四季折々の情景を描いた詩がついています。

小鳥が歌う春、ホーホケキョ、ホ長調。
暑さ厳しく、嵐にトタンの苦しみの夏、ト短調。
収穫の秋、お酒で酔っ払い、ヘ長調。
冬は、氷で滑って、ヘ短調。



現在の日本と、当時のイタリアでは「四季」の感じ方が違いますが、
当時の様子がよくわかり、ソネットと合わせて曲を楽しめます。

当時、ヴィヴァルディは詩にある農業とは無関係でしたが、
庶民の曲を分かりやすく音楽で表現したことで、人気となったのでしょう。
四季が好きな日本人にも伝わって、今では低音部の楽器もさまざまな形式で演奏され、
親しまれています。


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